消化器内科について

タイトル:消化器内科とは
消化器内科とは
消化器内科は口からお尻までの食べ物が通る約9メールの管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)とそれに連なるだ液腺や肝臓、すい臓、胆のうなど広い領域の病気を扱う科です。

消化器内科の病気だと思っていなくも、身体の調子が悪いな…と思って内科を受診される方の半数以上が、自覚はないものの、消化器の病気であることが多いのです。
また、日本人のがんの約60%は消化器のがんであり、早期であれば外科手術をせずに内科的な治療で治せることが多いのです。消化器領域には様々ながんが発生しますが、内視鏡検査などで多くは早期発見可能です。

【消化器内科に関するコンテンツ】
▼消化器内科で対応する症状
胸焼けがする、食物がつかえる、食欲がない、すぐ満腹になってしまい食事があまり食べられない、吐き気がする、吐く、胃がもたれる
お腹 お腹が痛い(腹痛)、お腹がむかむかする、お腹が膨れる
便 血便が出る、黒い便が出る、便秘が続く、下痢が続く、尿が褐色である、便が白っぽい
その他 血を吐いた、体重が減っている、体が黄色くなる、熱がある、体がだるい
▼消化器内科の多い疾患
食道 胃食道逆流症(逆流性食道炎・バレット食道)、食道癌 、 アカラシア、食道静脈瘤、食道カンジダ、放射線食道炎、マロリー・ワイス症候群
胃・十二指腸 胃炎、慢性胃炎、胃腸炎、胃下垂、胃アトニ―、消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)、胃静脈瘤、胃癌、悪性リンパ腫、消化管間質腫瘍(GIST)、胃前庭部血管拡張症(GAVE)、アニサキス症、機能性胃腸症
小腸 カルチノイド、腸結核、上腸間膜動脈閉塞症
大腸 大腸ポリープ、大腸癌、大腸炎、直腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、家族性大腸腺腫症、腸炎、大腸憩室症、悪性黒色腫、ヒルシュスプルング病、腸重積、腸閉塞、虫垂炎、鼠径ヘルニア
肝臓 黄疸、肝炎、肝硬変、門脈圧亢進症、肝細胞癌、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、NASH、脂肪肝、バンチ症候群、バッド・キアリ症候群、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、アルコール性肝障害
胆嚢・胆管 胆石症、胆管細胞癌、胆嚢炎、胆管炎、原発性硬化性胆管炎
膵臓 膵炎、膵臓癌
▼消化器内科の検査と概要一覧
上部消化管内視鏡
(胃カメラ)食道、胃、十二指腸。
【ファイバー内視鏡】日本においては、以前は光ファイバースコープが主として用いられていたが、画質・機能・弯曲性能が電子スコープに劣るため、次第に市場から消えつつある。
【電子スコープ内視鏡】CCDを先端にとりつけた内視鏡。現在、日本では主としてこれらが用いられている。 ファイバー内視鏡と電子スコープ内視鏡は、さらに経口内視鏡、経鼻内視鏡に分類される。
大腸内視鏡検査 大腸内視鏡検査では、大腸と小腸の一部を観察するために肛門から内視鏡を挿入し、これらの部位に発生したポリープや癌、炎症などを診断します。組織の一部をとって調べたり(生検)、病変を内視鏡的に切除することもできます。検査時間は患者さんにより多少違いますが、およそ15分から1時間です。
小腸内視鏡検査(バルーン内視鏡) バルーン内視鏡とは、長さ2mの長いスコープとバルーンの付いたオーバーチューブを組み合わせたものです。X線透視で適宜位置を確認しながら、バルーンを膨らませたりへこまして、オーバーチューブとスコープを進めたり引いたりすることにより、長い小腸を折りたたむように縮めながら奥へ進めます。
小腸内視鏡検査(カプセル内視鏡) 薬のカプセルよりも少し大きなカプセル内視鏡(長さ26mm、幅11mm)を飲んだのち、カプセルが消化管の動きによって徐々に進みながら、1秒間に2枚ずつ撮影していきます。7~8時間にわたり計5万~5万5000枚の画像を撮影し、腰に取り付けたレコーダーに記録します。これをあとでコンピューターで動画として解析します。患者さんの負担が少なく、小腸全体を観察することができます。
超音波検査 腹部超音波検査は内臓器の評価として簡便に行うことが出来、病院・診療所において広く行われている検査。 消化管を除く臓器を主として検査する。(例外として腸重積やイレウスといった一部の消化管疾患を検出できることもある。)
X線造影 胃・小腸・大腸の消化管造影検査ではバリウム・ガストログラフィン等の造影剤を用いて消化管の形態を検査する。
日本では胃がん検診で胃透視が現在でも多く行われている。内視鏡を用いるか、あるいは経皮穿刺による膵管造影(ERCP)・胆管造影(ERBD, PTCD)も行われる。
ICGテスト (インドシアニングリーン試験)肝臓の解毒能力(異物を処理する能力)を調べる検査です。緑色の色素であるインドシアニングリーン(ICG)を静脈から注射します。ICGは血液中から肝臓に取り込まれ、胆汁中へ排出されます。排出される量は、肝臓の血流量と肝臓の細胞の色素摂取量によって変わります。ICGを静脈注射15分後に採血し、血液中のICGがどれくらい排出されたかを調べることで、肝臓の解毒能力の程度がわかります。
尿素呼気試験 胃にヘリコバクター・ピロリ菌がいるかどうかを調べる検査です。 ピロリ菌に感染していると、胃の中の尿素はピロリ菌が分泌するウレアーゼという酵素によって、アンモニアと二酸化炭素に分解され、二酸化炭素は、呼気中に排出されます。この原理を利用して、尿素を含んだ検査薬を飲んでいただき、内服前後の呼気を調べることによって、検査薬中の尿素からの二酸化炭素量を求めて、ピロリ菌の存在を診断します。
ビデオ嚥下造影(VF)検査 食べ物を口の中へ入れて、咀嚼し、飲み込み、食道へ送り込む一連の動作のいずれかに障害がある状態を嚥下(えんげ)障害といいます。 この検査は、エックス線を用いて食物の飲み込みの様子を観察するもので、嚥下時の食塊の通過の状態、喉頭、咽頭への貯留の有無、誤嚥(ごえん)の有無を確認することができます。
注腸X線造影 肛門に細いチューブを挿入して、そのチューブから造影剤や空気を注入し、X線画像を撮影します。
小腸X線造影 200~300mlの造影剤を飲んでいただき、小腸内を通過するところをX線透視で追跡しながら撮影します。細いチューブを口から十二指腸まで挿入して、そのチューブから造影剤や空気を注入する方法もあります。
低緊張性十二指腸X線造影 細いチューブを口(あるいは鼻)から十二指腸まで挿入し、鎮痙剤を注射して蠕動(=食物を移動させるための腸の収縮運動)を止めて、挿入したチューブから造影剤や空気を注入して、二重造影像を撮影する方法です。
上部消化管X線造影) (食道・胃・十二指腸造影)造影剤と発泡剤を服用し、食道・胃・十二指腸のX線画像を撮影します。
消化管X線造影 一般的に「バリウム検査」と呼ばれている検査で、造影剤を口から飲む、あるいは肛門から注入して、消化管のX線画像を撮影します。
超音波一般 超音波とは人に聞こえない高い音、あるいは聞くことを目的としない音と定義されています。 実際の超音波検査では300万ヘルツから1,500万ヘルツ、すなわち3MHzから15MHz程度の周波数の超音波が使われています。 人体に対して超音波を発信して体内の臓器から反射して返ってくる超音波を受信、コンピュータ処理し映像化します。 尚、超音波は妊婦さんのお腹の赤ちゃんを見るためにも使われており、安全性の高い検査であることも特徴です。 腹部超音波検査では主に肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓・腎臓などの臓器を観察します。 この他にも乳腺・甲状腺・頸動脈などさまざまな部位に超音波検査は行われています。
MRCP MRCPとはMagnetic Resonance cholangiopancreatographyの略で、MRI装置を用いて胆嚢や胆管、膵管を同時に描出する検査です。胆石、胆管結石や膵臓の嚢胞性病変の検出に特に優れています。内視鏡を用いて行う逆行性胆管膵管造影と比較し、苦痛が少なく、また合併症もなく非侵襲的に行えます。
MRI MRIとは、Magnetic Resonance Imagingの頭文字をとった略語で、電磁石と電波を利用した画像診断法です。患者さんには、強力な電磁石をもつ、トンネル状の装置の中に入っていただき、電波を当てることにより画像データを得ます。画像は、任意の断層面が得られ、放射線被ばくがないのが特徴です。頭部、脊椎、胸部、腹部、骨盤、四肢などの様々な部位の病変の検出に優れています。
MRAとは、Magnetic Resonance Angiographyの頭文字をとった略語です。低侵襲に脳動脈瘤などの有無を含め、全身の血管を描出します。造影剤を用いないことを基本としますが、造影剤を用いることもあります。
Fat-CT検査 (腹部脂肪計測CT)メタボリック・シンドロームの評価を目的として行う単純CT検査です。おへその高さで断面像を撮影し、皮下脂肪の厚み、腹腔内脂肪の断面積や分布を調べる検査です。
DIC-CT (CT胆道造影)CT胆道造影とは、Drip Infusion Cholecystocholangiography(点滴静注胆嚢胆管造影法)とCTとを組み合わせた検査法です。点滴で胆汁中に排泄されるヨード造影剤の投与を行った後にCTを撮影し、胆嚢や胆管を詳しく調べる検査です。
CT(一般) CTとは Computed Tomographyの略語で、コンピュータ断層撮影のことです。
X線を体の周りに回転させて、体を透過して検出されたX線量から、体の断面像を作成します。また断面像のほかに、立体的な3D画像を作成することができます。
CT検査は、造影剤を使用しない単純CT検査と、造影剤を静脈注射して行う造影CT検査の2つに分けられます。造影剤を使用すると正常構造や病変が明瞭に見えることが多いので、撮影部位によっては用います。
食道pHモニタリング 食道pHモニタリング検査は、胃食道逆流の程度を評価するための検査で、酸性の(pHの低い)胃液が食道内に逆流すると食道内pH値が低下することを利用しています。pHモニターの装置(直径2ミリほどの軟らかいチューブ)を鼻から入れて先端部を食道内に留置し、24時間のpHの変動を記録して、胃食道逆流の有無、程度を評価します。
食道内圧検査 食道内圧検査とは、食道閉鎖症術後の食道運動機能評価や胃食道逆流症が疑われる患者さんに対し、下部食道括約筋の圧の測定を目的とした検査です。内圧測定のための装置(直径2ミリほどの細いチューブ)を鼻から食道に挿入して計測する検査です。
上部消化管内圧検査 上部消化管内圧検査とは、胃や腸の運動に問題がある患者さんや原因不明の嘔吐や腹痛を認める患者さんを対象に、疾患、病態の把握、術前術後の胃や腸の運動機能評価などを目的として行う検査です。内圧測定装置(直径2ミリほどの細いチューブ)を用いて胃や腸の内圧を測定し、正常な動きのパターンが認められるかを評価します。
肝生検 肝生検とは、腹部に生検針を刺し、肝臓の組織の一部を採取する検査です。様々な肝臓疾患の原因や病態を把握し、診断や治療方法を決定するために必要な検査です。また、肝移植を受けた方の場合は、拒絶反応などを調べるために行うことがあります。この検査でも確定診断がつかないケースもありますが、多くの場合、治療法を選択するのに有用な所見が得られます。
管腔内超音波検査法(IDUS) 一般的に、体表からあてて内臓をみる体外超音波検査と異なり、内視鏡的逆行性膵胆管造影ERCP下に、胆管や膵管に細長い管状の超音波を入れ、精細な超音波画像を得る方法です。超音波の端子が病変に近いこと、超音波周波数が高いことなどより、精密で多くの情報が得られます。
▼苦しくない胃カメラとは?
胃カメラは苦しい…とよく言われます。なぜ、胃カメラは苦しいのでしょうか?
そもそも胃カメラが苦しい理由は「咽頭反射」という、神経反射にあります。異物を飲み込んでしまった時などに、のどの奥に手を突っ込んで吐かせることがありますよね?人は、のどの奥にある舌の付け根やのどちんこの部分などに物があたると、「おえっ!」と戻したくなります。これが咽頭反射です。
口から入れる胃カメラ(経口内視鏡)で検査を行う場合、常に管がのどにあたるため、この咽頭反射がどうしても起きてしまい、吐き気が続きます。その上、のどを管がずっとふさいでいるために、息苦しい…窒息感が起きます。このために、胃カメラは苦しい、もう嫌だ。と言われるようになったのです。

これに対して鼻から入れる胃カメラ(経鼻内視鏡)で検査を行う場合は、管が舌の付け根に触れずに食道や胃に到達するので、口から入れる胃カメラと違い、「咽頭反射」がありません。
そのため、ほとんど吐き気を感じません。また、管も口から入れる胃カメラのものよりも細いので、「見た目」からくる恐怖感も少なくなるでしょう。また、何よりも口が空いているので、窒息感はありませんし、モニター画面を見ながら医師に質問をすることもでき、安心感が増します。
ですので、鼻から入れる胃カメラ(経鼻内視鏡)を使えば、「苦しくない」検査が可能になるのです。
▼大腸がんの早期発見に有効な大腸内視鏡検査
大腸がんは、2015年までに日本人のがん罹患率で部門別のトップになるとまで言われていることをご存知でしょうか?
大腸内視鏡検査は、大腸がんを早期発見するために最も重要な検査です。この検査によって大腸がんを早期発見することができれば、生活の質を下げることなく治療することができます。早めの検査・早めの治療をしましょう。

大腸がんは早期であれば、簡単に内視鏡で治療ができます。ご家族に大腸がん患者がいらっしゃる方は40代から、そうでない方は50代からの大腸内視鏡検査をおすすめします。
また、大きいポリープやたくさんのポリープが見つかった人は、大腸がんになりやすい傾向があるため、定期的に検査することが肝要です。
開腹手術や人工肛門となる前に検査をしましょう。
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