人は暑さに対し、汗をかいたり血管を広げることで体温調整(自律神経の働き)をします。そのため体の温度を一定に保つため、エネルギーを消費しなければなりません。このエネルギー消費は体に大きな負担がかかります。
冷房がない時代、夏バテと言えば体力低下や食欲不振が主な症状でした。しかし現代ではエアコンが普及し、暑さへの対策はできましたが、外気と室温の急激な温度差が原因で、自律神経をコントロールすることが難しい状況へと変化しております。そのため倦怠感やめまい、頭痛のような症状が目立つようになりました。 夏バテは夏だけに限らず、気温の変化の激しい梅雨や初夏にも発症しやすいので注意が必要です。
症状 |
◇消化器系 食欲不振、下痢、便秘、吐き気 |
◇神経系 頭痛、痙攣、しびれ、無汗状態 |
◇血液系 貧血、立ちくらみ、めまい |
◇精神系 倦怠感、睡眠不足、疲労感 |
原因 |
夏の暑さ |
自律神経の乱れ |
食欲不振、栄養不足 |
体内の水分不足、ミネラルの不足 |
夏バテの場合は、起因する夏風邪にも注意が必要です。日頃の生活習慣と暑さに備えての体づくりをしましょう。
汗をかくことで体内の温度を下げるだけでなく、血液量をコントロールしたり、心拍数の変化で環境に適応する能力を自ずと身に付けています。
このように少しづつ暑さに順応させることを暑熱順化(しょねつじゅんか)と言います。この暑熱順化は徐々に暑くなる場合には対応できるのですが、気温差が激しい場合にはどうしても順応するまでに時間を要してしまいます。
そこで日頃から体温調整のできる体づくりをしておくことが大切です。
夏バテしない体をつくるには、日頃から運動して体力をつけておくことです。
しかし激しい運動を続けても継続できなければ意味がありません。そこで少し息が上がるくらいの適度な運動が有効です。
できれば毎日続けることが良いのですが、週2~3日を目安でも構いません。
屋外なら朝夕の涼しい時間にウォーキングやサイクリング、屋内であるなら水泳、ストレッチなどを60分程度行うことが理想的です。時間的に厳しい場合は、日頃エスカレーターを使うところを階段に変えるだけでも効果は見込めるでしょう。
運動中は水分補給を忘れないようにしましょう。
日常的な対策としては、十分な睡眠と規則正しい生活。それにバランスの良い食事が大切です。
睡眠不足や、睡眠時間にバラつきがあると自律神経が乱れやすくなります。また食事も栄養素とともに水分や塩分などのミネラルを摂取しましょう。
睡眠がなかなか取れない方は、寝る前にぬるめのお風呂でゆっくり入浴しましょう。自律神経の副交感神経が活発になり、リラックス効果が得られるのでぐっすり眠ることができます。
食事はバランスよく1日3食を心がけましょう。夏場はビタミンやミネラルの消耗が激しいため、普段から摂取しておく必要があります。 1番効果的なのは夏野菜を多く取り入れることです。サラダやカレーにすることがお勧めです。少し辛めにすることで発汗作用が働き、暑さへの抵抗力もつきます。
エアコンに頼る生活は非常に危険です。常に冷房を効かせている環境では、自律神経が不安定になります。毎日冷暖房を使用しているのであれば、生活環境を見直す必要があります。
またストレスを抱えてしまうと疲れやすくなり、夏バテを引き起こす原因にもなりかねません。体に疲労感がある場合にはマッサージをしてもらうのも良いでしょう。デスクワークの場合には、適度に伸びをしたり、目元を温めるなどしてリラックスするようにしましょう。
夏バテにならずに暑い夏を乗り切るためのポイント
1. 冷房の温度調整
暑いからと言って設定温度の下げすぎは危険です。冷房は28度を勧めます。
2. サーキュレーターを使う
冷房をかけると冷たい空気は下へ向かいます。このままでは部屋の温度が下がりきるまで時間がかかります。そこでサーキュレーターを使い、エアコンの風が当たる場所にサーキュレーターを置き、上向きに空気を流すと効果的です。
3. 扇風機を効果的に使う
冷気が直接当たるのは良くありません。そこで冷房を除湿にし、扇風機を併用することで体熱温度を下げられます。扇風機は首ふりが良いでしょう。
4. ひざ掛けなどの防寒対策
公共施設や仕事場が寒すぎたりする場合があります。個人で解決できない場合もありますので、上着を着たり、ひざ掛けを掛けるなど体が冷えすぎない対策もしましょう。
5. 汗は上手にかきましょう
暑さのあまり、部屋から出ないのではなく、気温が低めな夕方などに外で少し運動し、汗をかくようにしましょう。代謝が上がり、血流も良くなり老廃物が出て行くという効果が見込めます。
6. 冷たい飲食はほどほどに
暑いとどうしても冷たいものが欲しくなります。冷たいものに偏りすぎると消化機能が低下する原因になり、結果夏バテを招きやすくなります。摂取する場合には適度に抑えましょう。
7. 寝苦しい夜の対策
熱帯夜はなかなか寝つくことが困難です。しかし朝まで冷房をかけておくことは体に負担をかけてしまいます。寝つく頃に冷房が切れるようタイマーをセットしましょう。 また頭を冷やすことも効果的です。今は熱を吸い取るシートや冷感シーツなどもあるため、冷房に頼らずともこうしたアイテムを効果的に使用しましょう。
8. 食事
夏場は必要以上にビタミンやミネラルが消費します。暑さに負けない体づくりでも紹介しましたが、夏野菜を上手に取り入れましょう。また食事だけでなく、スポーツドリンクや経口補水液で水分を補給することも大切です。
夏バテから様々な症状へと悪化する前に、受診することをお勧めします。症状や状態によっては点滴や薬の処方が必要になるかもしれません。
夏を迎える前に、1度医師からアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。