肝臓内科について

タイトル:肝臓内科とは
肝臓内科とは
肝臓は、病気になっていてもなかなか症状を出さず、気づいた時には末期いうことも多く起るため、病気を一刻も早く発見し治療することや、それを招く生活習慣を早期に改善し、詳しい検査を行う科です。

肝臓の働きから、肝臓の病気まで解説します。

【肝臓内科に関するコンテンツ】
▼肝臓のしくみ
肝臓は、人体の右上腹部に位置し、肋骨弓の後ろ側で、横隔膜の下にある人体のなかでもっとも重い臓器です。
成人の肝臓の重さは、1.2~1.5kgで、体重の約50分の1にあたり、生まれたばかりの新生児の肝臓は、体重の約18分の1にもなります。
肝臓は、厚みがあって大きい右葉と、小さい左葉に分かれ、下面の中央に血管、胆管、神経が走っています。
▼肝臓のはたらき
肝臓はよくからだのなかの化学工場、貯蔵庫にたとえられます。
それは肝臓が、腸で吸収されたさまざまな栄養素を代謝、貯蔵するほか、胆汁の生成や分泌、および解毒や排泄などの、生命の維持に必要な多くのはたらきを行なっているからです。
肝臓には約2000種以上の酵素があるといわれ、これらの酵素のはたらきによって、肝臓は以下のようなさまざまな機能を営んでいます。
肝臓とは仕組み機能
肝臓の機能1:代謝機能
栄養素を分解したり合成したりして身体が利用できる形に作り変えるために、栄養素を分解・合成する機能。この代謝作用が肝臓機能の中でも最も重要なものです。
(アルコールの分解)
アルコールは、90%以上が肝臓で代謝されます。そしてアセトアルデヒドに分解され、その後、酢酸、水に変わります。
飲み過ぎ等でアセトアルデヒドが蓄積すると、二日酔い、肝障害などの原因となります。
肝臓の機能2:解毒作用
食べ物や飲み物の中には、栄養となるもの以外に有毒なものが含まれていることがあり、有害物質の多くは腸から吸収され肝臓に集まってきます。 肝臓は自分の持っている解毒作用の働きによって、これらを無毒化して体外に排出する働きがあります。
肝臓の機能3:消化
胆汁という消化液を作る機能。肝臓から分泌される胆汁酸には、コレステロールを排泄させる働きがあります。
▼肝臓の病気がもたらす症状
肝臓の病気にかかってもすぐには症状がでにくいことから、肝臓はよく「沈黙の臓器」といわれています。
症状のないことは、患者さんにとってよい反面、逆に知らないうちに肝臓の病気が進み、わかった時点ではかなり進行している、という場合もあります。手遅れにならないよう、肝臓の病気のおもな症状を覚えておきましょう。
全身の倦怠感 疲れ、だるさは人によって感じ方が異なりますが、急性肝炎になると、食欲不振、吐き気とともに強い倦怠感が現われます。脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変などの慢性肝疾患のある人は、この倦怠感を訴えることが多く、この場合、肝機能の増悪をともなっている場合とそうでない場合があります。
黄疸 血液中にビリルビンという色素が増えている状態で、眼球結膜(白目の部分)、皮膚や粘膜が黄色くなってくる症状です。人によっては、尿の色が濃くなったり、便の色が灰白色になって黄疸に気づく場合もあります。
黄疸がおこるのは、急性肝炎、肝硬変などの肝臓の病気だけではありません。からだにとって危険な信号ですので、黄疸が現われたら速やかに病院へ行きましょう。
手掌紅斑 手のひらの親指や小指のつけ根のふくらんだ部分が異常に赤くなり、点状の赤い斑点が散在しているもので、慢性肝障害の人によくみられます。
クモ状血管腫 肝硬変の人は、前胸部、くび、肩、腕に赤く隆起した斑点がみられます。これは小動脈の血管が拡張しているためで、よくみると赤い隆起を中心に毛細血管が放射状に浮き出ています。中心の赤い隆起部分を押すと周囲の毛細血管は消えますが、離すとまた現われる特徴があります。
女性化乳房 肝硬変の男性では、乳房が女性のように大きくなることがあります。押すと痛み(圧痛)があり、中にしこりを触れることがあります。これは肝硬変によって肝臓での女性ホルモンの分解力が低下し、女性ホルモンが血液中に増加するためと考えられています。  ひげや陰毛が薄くなり、睾丸が萎縮する場合もあります。
腹水、浮腫 肝硬変になると、尿の出が悪くなり、下肢がむくんだり(浮腫)、腹部に水が溜まってカエルの腹のようにふくれること(腹水)があります。 これらの症状は、進行した肝硬変で、肝機能がかなり障害されている場合にみられます。しかも腹水の溜まり始めは気づかないことが多いため、体重の増加には注意が必要です。
吐血 肝硬変の人が、突然血を吐くことがあります。この吐血の原因としては、食道の粘膜にできる食道静脈瘤、胃・十二指腸潰瘍、出血性胃炎などがあげられますが、肝硬変による吐血は血が止まりにくく、とくに食道静脈瘤の破裂は大量に出血して死に至ることがあります。吐血した場合はすぐに医療機関を受診しなければなりません。幸いなことに、最近は内視鏡的治療によって、出血による死亡はかなり減ってきました。
肝性脳症 進行した肝硬変や劇症肝炎などの重症の肝障害では、血液中のアンモニアが上昇し、肝性脳症といわれる意識障害をひきおこすようになります。 症状は、進行の程度によりさまざまですが、精神活動が鈍くなり、徘徊、尿や便の失禁、異常な言動などがみられます。このような症状をおこした後は、よく眠るようになり、最後に昏睡におちいります。 このような人には、手首が羽ばたくように震える羽ばたき振戦、芳香性の独特の口臭(肝性口臭)があります。
▼肝臓の病気について
▼アルコール性肝疾患(ALD)
アルコールの過剰摂取により最初に起こる肝臓の変化は脂肪肝です。
脂肪肝は日本酒1日5合程度1週間飲み続けると確実に起こりますが、2~3週間の断酒によって脂肪肝はなくなります。アルコール性脂肪肝の人がさらに継続して大量に飲酒すると、10~20%の人にアルコール性肝炎が発症します。
この肝炎は重症になるとしばしば致命的な劇症肝炎になります。また日本酒3~5合の飲酒を続けていると、肝細胞の壊死を伴わない肝線維化が進行し、男性なら約20年、女性なら約12年後に肝硬変に移行します(女性はより少ない飲酒量で肝障害が生じやすいので注意)。このようなアルコール性肝硬変は慢性大量飲酒者の20~30%にみられます。
ALDはどのような機序で起こるのでしょうか。以前はアルコールを飲む人は低栄養を伴うために肝障害が起こるという考えもありましたが、現在ではアルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドが不安定で反応性に富んだ物質であるため、生体内のタンパク質や脂質を変性させ、肝臓を障害すると考えられています。
さらにアルコールはフリーラジカルの生成を促し、酸化ストレスの原因になります。アルコールは腸内細菌が産生する内毒素(エンドトキシン)の消化管から門脈への移行を促進させるので、エンドトキシン血症を惹起し、それによってクッパー細胞から種々の化学物質を放出させ、肝細胞を障害します。

重症型アルコール性肝炎(SAH)
SAHはアルコール性肝炎のなかで、肝性脳症、肺炎、急性腎不全、消化管出血やエンドトキシン血症を伴う重症の肝炎で、禁酒しても効果は現われず、1ヵ月以内に死の転帰をとる場合があります。
最近この疾患の女性患者数に増加傾向がみられますが、その背景には女性の方が男性より少量の飲酒で肝障害が進展すること、女性の社会進出によって女性一人当りの飲酒量が増加傾向を辿っていることが挙げられます。
女性がSAHに占める割合は1992~1994年では19%でしたが、1998~2002年で30%になっています。SAHの予後の改善には、早期発見、血漿交換、血液持続濾過透析、白血球除去療法などが早期に実施されなければなりません。
▼非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
NAFLDとは飲酒歴のない人に起こる一連の脂肪性肝疾患群です。
それには単純な脂肪肝や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、それから進展する肝硬変、肝細胞がんが全てが含まれます。NAFLDは肥満、糖尿病、脂質代謝異常などインシュリン抵抗性を基盤とする疾患です。
アルコールを常飲していない人にも肝細胞に脂肪が溜まる脂肪肝が最近増加しています。脂肪肝があるとき腸内細菌が放出する内毒素(エンドトキシン)が門脈を介して大量に肝臓内へ流入すると、クッパー細胞は活性化して種々の化学物質を放出します。それによって脂肪肝に炎症が起こり、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)になります。
NASHが継続すると慢性C型肝炎の場合と同様に肝星細胞が活性化し、過剰の線維を産生するので、肝硬変へ進展します。そうなると肝細胞がん発生のリスクが増してきます。最近のヨーロッパでは、人口の20~30%が脂肪肝で、その1~2%が15~20年後に肝硬変へ移行するリスクを持っていると言われています。
▼ウイルス性肝炎
ウイルス性肝炎は、A、B、C、D、E型の5つがあります。
感染経路 種 類 特 徴
経口感染 (慢性化しない) A型肝炎ウイルス(HAV) 日本で多い急性肝炎
E型肝炎ウイルス(HEV) 海外旅行(特に東南アジア)で感染の他に、野生のシカ、イノシシやブタの生肉を食べると感染することが知られている。
血液感染 (慢性化することがある) B型肝炎ウイルス(HBV) 大人の感染では急性肝炎、母子間感染や乳幼児期感染では慢性化する。
C型肝炎ウイルス(HCV) 感染すると約80%は慢性化する。
D型肝炎ウイルス(HDV) D型ウイルスのみでは増殖できないためB型肝炎ウイルスキャリアに感染する。日本ではきわめて少ない。
▼肝硬変
肝硬変の原因は、我が国では慢性C型肝炎による場合が最も多くみられます。
また、最近ではNASHから肝硬変への移行が増加傾向にあります。肝炎が慢性化すると肝臓のクッパー細胞や、単球由来マクロファージが活性化して、盛んに化学物質を放出します。それによって類洞周囲に存在する肝星細胞が活性化します。
肝星細胞は正常状態では多量のビタミンAを貯蔵していますが、活性化すると貯蔵ビタミンAは減少消失し、筋線維芽細胞(平滑筋細胞と線維芽細胞の中間的な細胞)に変化し、盛んにコラーゲン線維を産生するようになります。
我が国では肝線維化のステージを、線維化がみられないものから、次第に増加し、肝硬変に至るまでを、F0、F1(軽度)、F2(中等度)、F3(高度)、F4(肝硬変)の5段階に分けています。肝臓は増加した線維で固くなるとともに、類洞を取り巻いていた肝星細胞の収縮性が増し、門脈血はうっ滞して腹水が溜まってきます。
門脈圧が上昇し、うっ血状態になります。健常時の肝臓の動脈血/門脈血の量比は3/7ですが、肝硬変では7/3と逆転します。そのために肝臓に2次的に障害が起こります。
門脈血はうっ滞して腹水が溜まってきます。門脈血は通常通り肝臓内を通って心臓へ帰れなくなり、肝臓の外にある細い静脈(副行枝)を押し広げながら心臓へ帰ろうとします。
その副行枝の一つがしばしば食道下部に静脈瘤を作ります。この静脈瘤が内圧に耐えられなくなって破裂して一挙に大量出血を起こし、ショック死を招くことがあります。
一方肝臓内では炎症が長く持続し、且つ線維化がおこってくると、発がんのリスクが増加します。
いずれにしても肝硬変は重篤な病気ですから、慢性炎症の初期段階で治療することが肝要です。
▼肝細胞がん
肝臓のがん(肝がん)には転移がんと原発がんがあります。
転移がんは胃がんや大腸がんのように門脈の上流にできた消化器がんが門脈を介して肝臓に転移したがんです。これに対して原発がんは肝臓の細胞ががん化してがんを発生させる場合で、肝細胞がんと胆管上皮がんがあります。
我が国で最も多い原発がんは慢性C型肝炎後に発生する肝細胞がんです。
また、多くは肝硬変を伴い、HCVのウイルスが直接がんを誘発させる場合と、慢性肝炎という炎症が長期に継続したためにがんが出来る場合が議論されています。慢性C型肝炎による肝細胞がんが一度発生すると、肝内の別の部位にまた起こる可能性があり、がん除去術後に定期的な検査が求められています。
▼肝臓を守る方法
肝臓を守るためは、肝臓に負担となる原因を解消することです。
肝臓に負担をかける原因は、肥満、糖尿病、アルコールの飲みすぎです。
肝臓に負担をかける原因の肥満を解消するには、ダイエットが必要。
ダイエットには、バランスの良い食事で食べ過ぎの方は、食事量を減らすことが重要。また、適度な運動も必要です。
脂肪肝の原因であるアルコールを飲みすぎないことも大事。
▼肝臓(脂肪肝)に良い食事・食品
肝臓(脂肪肝)に良い食事・食品は、タウリンを含む食品です。
肝臓から分泌される胆汁酸には、コレステロールを排泄させる働きがありますが、タウリンを含む食品を摂取するによって胆汁酸の分泌が増え、血液中のコレステロール値も下がります。
タウリンには、酵素の働きを助ける働きがあるので、アルコールの分解を早め、肝臓への負担を軽くしてくれます。 また、タウリンには、腎臓や肝臓の有害ミネラルである毒素を濾過する機能をUPさせてくれます。
カキに含まれるタウリンは、肝臓に溜まった中性脂肪を肝臓の外に出してくれ、そして肝臓(脂肪肝)を良くする働きがあるのです。 つまり、タウリンが肝臓に入ると、まず肝臓内の中性脂肪を取り除きます。さらに肝臓から脂肪を外に排出する働きをしてくれます。 食事療法としては、タウリンを含むカキなどを食事に取り入れましょう。
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