精神科とは
医療機関における診療科目の一つで、精神疾患や精神障害を専門に扱う科のこと
現在の日本の精神科病院は、精神障害者への差別と偏見から、診察に訪れにくい強いイメージがありました。
近年では医療機関名の呼称を「心療クリニック」「メンタルクリニック」などにしたり、診療科目として「神経科」「心療内科」「メンタルヘルス科」とすることで、外来患者が訪れやすくなりました。公の上では2006年、精神病院の用語整理法が成立し、精神病院を精神科病院と呼称することになりました。
主な診療対象は、精神障害・睡眠障害・知的障害・発達障害・ギャンブルや飲酒を原因とする依存症等が挙げられます。
麻薬や覚せい剤等の薬物依存症の治療も行う病院がありますが、日本では欧米と異なり治療などの予防より薬物犯罪としての処罰を重視する傾向や薬物患者に対する非寛容傾向が強いことや、薬物治療を行うクリニック病院が少ないことから、薬物依存患者が減少しにくいという指摘があります。
▼診療対象別の障害、症状
▽精神障害
苦悩や異常を伴う心理的症候群または、繰り返し精神や行動における特定の症状が見られ、機能的な障害を伴っている状態のこと
注意欠陥・多動性障害 (ADHD) |
小児期、青年期に見られる障害 |
知的発達障害 (知的能力障害) |
小児期、青年期に見られる障害 |
物質関連障害 |
物質の使用が制御できない、物質の使用に伴い精神症状が生じるなど |
身体疾患による精神障害 |
認知症また脳損傷や脳機能不全のような脳疾患、あるいは身体疾患が原因の症状など |
気分による精神障害 |
抑うつを呈するうつ病や、気分変調性障害、気分が高ぶった躁も呈する双極性障害、また不安や恐怖が持続する不安障害や強迫性障害など |
ストレスが原因の精神障害 |
心的外傷後ストレス障害や急性ストレス障害 |
統合失調症やほかの精神病性障害 |
妄想や幻覚といった症状など |
神経認知障害 |
せん妄や認知症など |
パーソナリティ障害 |
文化的な平均から著しく偏った行動、社会的に逸脱した行動をするなど |
衝動制御障害 |
窃盗癖、放火癖など反社会的な行動をするなど |
摂食障害 |
嘔吐や下剤などの行動を伴った摂食行動が制御できない、または既に過剰に痩せているにもかかわらず、体重が増えることを非常に恐れ摂食ができない |
性同一性障害 |
自己の生物学的性別とは異なる性別にアイデンティティを持ち、苦痛を感じる |
解離性障害 |
意識や記憶の同一性に関して、破たんが生じる |
▽睡眠障害
不眠症や過眠症、または慢性的に起床と睡眠のリズムにずれが生じていること
睡眠異常 |
睡眠自体が疾患であるものを指す。不眠症、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、睡眠相後退症候群など |
睡眠時随伴症 |
睡眠中に見られる異常な行動。夜驚症、夜尿症、睡眠麻痺、周期性四肢運動障害、睡眠関連摂食障害など |
医学・精神医学的睡眠障害 |
身体疾患、精神病や不安障害、うつ病などに伴う不眠や過眠 |
その他 |
未だ分類が正確になされていない、短時間睡眠者や長時間睡眠者など |
▽知的障害
金銭管理や読み書き、計算など日常生活や学校生活の上で、頭脳を使う知的行動に支障があること
▽発達障害
肉体的・精神的な不全をもたらす慢性的症状らの様々な障害者のこと
▽依存症
身体的依存を伴うもしくは伴わない、薬物や化学物質を繰り返し使用してしまうこと
精神依存 |
使用の抑制ができなくなる。使用を中止すると、精神的離脱症状として強い不快感を持ち、該当物質を探すなどの行動がみられる |
身体依存 |
使用を中止することで痙攣などの身体的離脱症状が出現することがある。主にアルコール、モルヒネ、バルビツール酸系にみられる |