2021年12月24日に重症化予防のための飲み薬モルヌピラビル(ラゲブリオ®)が認可されました。翌年2月10日には、パキロビッド®が特例承認され、2月25日には塩野義製薬が、新型コロナウイルスの軽症者用の飲み薬として厚生労働省に承認を申請しております。
ここでは、徐々に新型コロナウイルスの治療薬の開発が進んでいるなか、新型コロナウイルスの内服薬が一般化する前に改めて内服薬に関する知りたいことを紹介したいと思います。
内服薬の内服には、薬を飲むという意味があります。服薬(ふくやく)や飲み薬、内用薬など他の呼び方をする場合もあります。
厚生労働省が定める医薬品(医療用医薬品)、医薬部外品の中で外用薬、注射薬は内服薬に入りません。
内服薬に限らず、薬の多くは服用のタイミングがそれぞれあります。内服薬の効果や副作用にも影響することがありますので、決められたタイミングで服用するようにしましょう。
頓服薬とは、症状や発作などがひどい場合に使用する薬のことを指します。
病院で処方される頓服薬は、内服薬のように飲み薬ではありますが、内服薬は○日分と表記されるのに対して、頓服薬は○回分と表記されております。
一般的に内服薬は、定量を決まった時間に服用しますが、頓服薬は臨時的に症状が出た時などに服用します。頓服薬には解熱剤・鎮痛剤・下剤・睡眠剤・狭心症発作を抑える薬などがあります。
内服薬にはそれぞれ特徴の違う錠剤・カプセル剤・散剤・顆粒剤・液剤・シロップ剤などの剤形があります。錠剤やカプセル剤のような固形のものと、散剤や顆粒剤のような粉状のもの、液剤やシロップ剤のような液状の3タイプがあります。
錠剤は薬効成分と添加物を混ぜ合わせて固めた薬です。糖衣錠やフィルムコーティング錠など飲みやすいものや、水なしでも服用できるOD錠(口腔内崩壊錠)などがあります。
カプセル剤はゼラチンなどの成分で作られたカプセルの中に、薬を充填したものになります。主に顆粒や粉薬、液体の薬などを詰めて飲みやすくしてあります。
固形のタイプは体内で段階的に溶けていくため、徐々に効果が出てきます。副作用を軽減できることも特徴としてあります。
散剤は粉末状、顆粒剤は粒状の薬です。薬を口に含み水で体内に流し込むため、むせたり咳き込んだりすることがあります。うまく飲めない場合にはオブラートで包んで飲むと良いでしょう。
錠剤やカプセル剤に比べて比較的早く体内に吸収されるため、効果は早めに出ることがあります。体重や年齢に合わせて量をコントロールできることも特徴としてあります。
液剤は、薬効成分を精製水などに溶かして作られた薬です。シロップ剤は粉末状の薬を水で溶いたものですが、糖類や甘味料を加えて飲みやすくしてあります。薬が苦手なお子さまにも飲みやすくなっております。
液剤やシロップ剤は、1回で飲みきるものと液剤を服用分量に分けて飲むタイプのものがあります。散剤や顆粒剤のように量をコントロールできることが特徴としてあります。
注射薬とは、液状の薬剤を注射で体内に直接投与することです。注射剤とも呼ばれております。また点滴も注射薬の一種になります。
注射薬は内服薬と違い、細胞に直接薬効成分を注入させるため、早いタイミングで効果が現れます。注射薬は速効性がメリットとしてありますが、副作用が内服薬よりも早いタイミングで出てしまうデメリットがあります。
内服薬は原則、コップ一杯(約200ml)の水または白湯(ぬるま湯)で飲みます。水の代わりにお茶やジュースなどで服用される方がおりますが、薬の効果に影響することがあるため、水や白湯で服用するようにしましょう。
薬を飲むタイミングでもし飲み忘れてしまった場合には、前回服用時から4~5時間は空けるようにします。忘れてしまったからと言って、1錠飲むところを2錠飲むようなことは避けましょう。
※1日1回服用の場合は8時間を目安に空けましょう
薬の保管方法ですが、多くの薬は開封したままにしておくと空気中の酸素と光による変化が進むため、効き目がなくなることがあります。また高温の場所では、薬が変質したり固まってしまったりすることがあるため、一般的には直射日光が当たらない場所(18℃前後)で保存すると言われております。
液剤やシロップ剤は一般的に冷所保管のため、冷蔵庫は最適な場所と言えますが、子どもがジュースと間違えて飲むことがないように注意が必要です。
薬の保管
直射日光を避けなるべく湿気の少ない涼しい場所で保管
一般的に内服薬の使用期限は3年と言われております。未開封の状態(薬が空気にさらされていない状態)であり、直射日光が当たらない湿気の少ない涼しい場所が条件となります。
また市販薬とは違い、病院で手に入れるほとんどの薬は使用期限が記載されておりません。そのため、いつ処方された薬なのかはよく把握しておく必要があります。
もしいつの薬なのかわからない場合は、使用せずに処分するようにしましょう。
使用期限切れの薬または余ってしまった薬は、医療機関(病院・診療所・薬局など)で出された薬であれば、その医療機関で処分してもらう方が良いでしょう。それ以外は一般ごみと原則同じになります。
薬剤別の処分方法は以下の通りです。
種類 | 処分方法 | 備考 |
【錠剤・カプセル剤】 | 容器から取り出して可燃ごみとして処分 | なるべく紙や袋で包んで捨てる |
【散剤・顆粒剤】 | 容器から取り出して可燃ごみとして処分 | なるべく紙や袋で包んで捨てる |
【液剤・シロップ剤】 | キッチンペーパーやティッシュなどに液体を吸収させて可燃ごみとして処分 | 決して排水溝から流さない |
私たちの日常生活に薬剤は欠かせない存在であると言えます。薬の正しい内服方法や保管方法、薬の使用期限などあまり気にしたことがない方は、これを機に改めてみてはいかがでしょうか。
また、1年に1回は救急箱の中身を点検して整理することをおすすめします。
内服薬は用法・用量・使用期限を守り、処分方法も含めて正しく使うようにしましょう。