人間ドックも健康診断も、「現在の健康状態を明らかにし、健康異常に対する早期発見と健康保持」という目的で行われます。では、何が違うのでしょうか?
人間ドックはなんとなく精密な検査を受けるイメージはあるものの、正確な違いは意外と知られていません。
「人間ドック」と「健康診断」を比較しながら人間ドックについて詳しく説明していきます。
「人間ドック」 明確な定義はない。検査項目が多い。 |
||||||
「健康診断」 法律で必要な項目が定められている。検査項目が少ない。 |
||||||
健康診断 | 1年毎に1回以上義務付けられたもの 健康診断は、労働安全衛生法で一年毎に1回以上、定期的に行う事が義務付けられています。 そのため、職場やお住まいの自治体で定期的に行われています。 |
人間ドック | 法的な義務はない 一方、人間ドックには、法的な定義はありません。 一般的には、健康診断に比べ、人間ドックの方が検査項目がより専門的になり、種類も多くなります。より総合的に精密な検査を受けたい方が任意で受診します。そのため健康保険の対象外となることが多いです。 |
健康診断には、法律で毎年受けることが義務づけられている一般健康診断(一般健診)と、自分の意志で受ける人間ドックがあります。
2008年からは、メタボリックシンドロームに特化して検査を行う特定健康診査(特定健診)が医療保険者に義務づけられました。
人間ドックと健康診断の違いを簡単に説明するなら、検査項目の数といえるでしょう。より詳細に健康状態を調べたければ人間ドックを、一般的に調べるなら健康診断を選ぶことになります。
【人間ドック・一般健診・特定健診の検査項目一覧表】
検査項目 | 人間ドック | 一般健診 | 特定健診 | |
身体計測 | 身長・体重・BMI | |||
腹囲 | ||||
血圧 | 血圧検査 | |||
視力 | 視力検査 | − | ||
医師診察 | 問診・触診 | |||
目 | 眼底・眼圧 | − | − | |
耳 | 聴力 | − | ||
呼吸器 | 胸部レントゲン | − | ||
呼吸機能検査 | − | − | ||
腎臓 | 尿素窒素・クレアチニン | − | − | |
尿蛋白 | ||||
尿潜血 | − | − | ||
尿沈渣 | − | − | ||
糖代謝 | 血糖・尿糖 | |||
HbA1c | ||||
血球 | 白血球・赤血球・Hb・Ht | |||
血小板 | − | − | ||
肝機能 | AST・ALT・γGTP | |||
TBil・LDH・ALP・TP・Alb | − | − | ||
膵臓 | アミラーゼ | − | − | |
脂質代謝 | LDL-c・HDL-c・TG | |||
尿酸 | 尿酸値 | − | − | |
副部長音波 | 肝臓・胆・膵臓・腎臓 | − | − | |
便 | 便潜血 | − | − | |
上部消化管 | 内視鏡・透視検査 | − | − |
「健康診断」…検査項目が少く、会社・自治体で決まっている
健康診断は、糖尿病や高脂血症など生活習慣病リスクに関する検査が中心で、検査内容は簡単なものが多く、拘束時間は少ないです。主な検査内容に下記のものがあります。
簡易であるため、結果も「〇〇のリスクが高い」「〇〇の疑いがある」という傾向を教えてくれるものになります。
「人間ドック」…項目が多く、目的に合わせて選べたり、組合せたりできる
一方、人間ドックでは、受診後に「生活習慣病が見つかった」「初期のがんが見つかった」と良く耳にするのは、人間ドックのほうが一般的な健康診断よりも検査する項目が多く総合的に診断できるためです。人間ドックは大きく分けると、「基礎ドック」と「専門ドック」の2つに分けられます。
【基礎ドック】
健康診断の検査項目をより詳細に調べる、生活習慣病に関わる検査項目が中心です。
【専門ドック】
がんドック、脳ドック、レディースドック、心臓ドックなど死亡リスクが高いものを積極的にカバーする検査です。脳梗塞やがん細胞の有無など高リスクな病変を確認することができたり、子宮や卵巣など女性特有の病気を調べることもできます。
人間ドックの検査項目は、基本的に精密になればなるほど費用の負担がかかったり、時間がかかったりします。
「健康診断」…0円〜1万円程度
会社が加入する健保組合での受診なら、費用負担が小さいか無料で受診できるところもあります。
「人間ドック」…2万円〜
一般的な人間ドックは2万円〜5万円程度で、CTやMRIなどの専門ドックを追加していくと、10万円を越えることも珍しくありません。