スギやヒノキ、ブタクサなどの植物の花粉が原因となり引き起こされるもので、くしゃみ、鼻水、目のかゆみや充血の症状が出ます。日本で花粉症を引き起こす植物は約60種類確認されており(詳しくは花粉症の原因となる植物を参照)人によっては複数の種類の植物によって悩まされることがあります。
アレルギー性鼻炎は、花粉が原因となっている花粉症以外にも、ペットによるアレルギー、ハウスダストや食物アレルギーも存在します。
花粉症による症状は主に、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血、といった鼻と目によるものがほとんどですが、それが原因となって引き起こされる二次的な症状が出てきます。夜くしゃみや鼻づまりからくる睡眠不足。ひどい花粉症の場合だと自分のくしゃみで目が覚めてしまい、十分な睡眠が得られなくなり、別の病気を引き起こす可能性もあります。また、目のかゆみや鼻のかみ過ぎによる皮膚炎が起こってくるほか、鼻の通りが悪くなることで必然的に口で呼吸してしまうため、口内が乾きやすくなったりウイルスの侵入が安易になってきたりします。毎年のことだから…と諦めず、早い段階で治療をすることを強くお勧めします。
そもそもの根源は定かではありません。世界の古い記録にも鼻アレルギーは存在していました。しっかりとした解明がされたのは19世紀初期のイギリスで、涙や鼻水、くしゃみ、咳が止まらない症状が出ており、その症状に熱が加わっていたことから「枯草熱(hey fever)」と呼ばれていました。この頃に起こった症状を医学的に解明し、イネ科の植物の花粉が原因であったことを突き止め、花粉症と名付けられたようです。
世界的に見てこの花粉症のほとんどは、日本人特有といっても過言ではありません。海外においては、割と花粉症患者は少ないものとされています。ではなぜ日本人の発症率が高いのでしょうか。
まず花粉症の多くはスギ花粉によるものが多く、日本国土の実に1割をこえる面積をスギが占めているのは大きな特徴です。戦後の高度成長期に住宅建設の需要が増え、大量の木材が必要となりました。それと同時に多くのスギの植林があり、50年も経っていれば、樹齢50年を超える大量のスギの花粉が蔓延しても不思議ではありません。スギの植林はすでに中止されてますが、専門家の見方によれば、2050年以降は花粉の飛散が減少する見込みと考えられています。
現在およそ4割近くの花粉症患者がおり、その患者数は年々増加傾向となっています。花粉症は誰もが発症するものと考えられており、その時期は人によって様々です。そして2人に1人は花粉症経験者です。
昨年平気だったとしても、今年は突然発症してしまうかもしれません。植物ではない他のアレルギーを持っていたり、家族の誰かが花粉症などの場合は、全くアレルギーを持たない人に比べると、発症する確率は相当高いようです。
花粉症のほとんどはスギの花粉で、全体の実に7割弱はスギの影響です。次いでヒノキ、ブタクサ、イネ科と続きます。
種名 | 科名 | 発症率 | 飛散時期 |
スギ | スギ | 69.8% | 3月〜4月 |
ヒノキ | ヒノキ | 24.9% | 3月〜5月 |
ブタクサ | キク | 21.7% | 7月〜10月 |
イネ | イネ | 12.9% | 7月〜8月 |
シラカンバ | カバノキ | 2.9% | 5月 |
テンサイ | アカザ | 1%未満 | 6月〜8月 |
アブラナ属 | アブラナ | 1%未満 | 3月〜6月 |
スターチス | イソマツ | 1%未満 | 5月〜7月 |
イチョウ | イチョウ | 1%未満 | 4月〜5月 |
オオアワガエリ | イネ | 1%未満 | 6月〜8月 |
カモガヤ | イネ | 1%未満 | 7月〜8月 |
スズメノカタビラ | イネ | 1%未満 | 3月〜11月 |
スズメノテッポウ | イネ | 1%未満 | 4月〜6月 |
ネズミムギ | イネ | 1%未満 | 7月〜8月 |
ヒロハウシノケグサ | イネ | 1%未満 | 6月〜8月 |
ホソムギ属 | イネ | 1%未満 | 2月 |
カラムシ | イラクサ | 1%未満 | 7月〜9月 |
ハナノキ | カエデ | 1%未満 | 4月 |
ハンノキ | カバノキ | 1%未満 | 1月〜4月 |
コガマ | ガマ | 1%未満 | 7月〜8月 |
ヒメガマ | ガマ | 1%未満 | 7月〜8月 |
イエローサルタン | キク | 1%未満 | 4月〜5月 |
キク | キク | 1%未満 | 9月〜10月 |
ジョチュウギク | キク | 1%未満 | 5月〜6月 |
セイタカアキノキリンソウ | キク | 1%未満 | 10月〜11月 |
セイタカアワダチソウ | キク | 1%未満 | 10月 |
タンポポ | キク | 1%未満 | 通年 |
ディモルフォセカ | キク | 1%未満 | 6月〜7月 |
ハルジオン | キク | 1%未満 | 4月〜8月 |
ヨモギ | キク | 1%未満 | 9月〜10月 |
キョウチクトウ | キョウチクトウ | 1%未満 | 6月〜9月 |
オリーブ | キンモクセイ | 1%未満 | 5月〜6月 |
クルミ | クルミ | 1%未満 | 5月 |
カナムグラ | クワ | 1%未満 | 9月〜10月 |
コウヤマキ | スギ | 1%未満 | 4月〜5月 |
ギシギシ | タデ | 1%未満 | 5月〜8月 |
ヒメスイバギシギシ | タデ | 1%未満 | 5月〜8月 |
ツバキ | ツバキ | 1%未満 | 2月〜4月 |
ピーマン | ナス | 1%未満 | 6月〜9月 |
ナデシコ | ナデシコ | 1%未満 | 5月〜7月 |
ケヤキ | ニレ | 1%未満 | 4月〜5月 |
イチゴ | バラ | 1%未満 | 5月〜6月 |
ウメ | バラ | 1%未満 | 2月〜4月 |
サクラ | バラ | 1%未満 | 4月〜5月 |
サクランボ | バラ | 1%未満 | 4月〜5月 |
ナシ | バラ | 1%未満 | 5月 |
バラ | バラ | 1%未満 | 6月〜7月 |
モモ | バラ | 1%未満 | 4月 |
リンゴ | バラ | 1%未満 | 5月 |
オオバヤシャブシ | ハンノキ | 1%未満 | 4月〜5月 |
ネズ | ヒノキ | 1%未満 | 4月〜5月 |
ブドウ | ブドウ | 1%未満 | 6月 |
クリ | ブナ | 1%未満 | 7月 |
コナラ属 | ブナ | 1%未満 | 4月〜5月 |
アカマツ | マツ | 1%未満 | 4月〜5月 |
クロマツ | マツ | 1%未満 | 4月〜5月 |
アカシア | マメ | 1%未満 | 5月 |
ミカン科 | ミカン | 1%未満 | 5月〜6月 |
ヤナギ | ヤナギ | 1%未満 | 3月〜4月 |
ヤマモモ | ヤマモモ | 1%未満 | 4月 |
グロリオサ | ユリ | 1%未満 | 7月〜8月 |
花粉症の原因となる植物は1つとは限りません。人によっては数十種類もの花粉アレルギー持ちの方もいます。中には特定できず、花粉すべてに反応してしまう方もいるでしょう。好意で贈った花が原因で、花粉症になってしまう…なんてこともあるかもしれません。
近年ではアレルギー検査も容易にできるようになりました。花粉アレルギーだけでなく、食物、薬物、金属など自分の身体がどのアレルギーに反応してしまうのか、一度検査してはいかがでしょうか。
まずは必須アイテムの花粉症用メガネ。実に95%もの花粉を防いでくれるため、花粉症に悩まされている方になくてはならないアイテムです。花粉症用のメガネは必需品なのですが、手元にない場合は普通のメガネでも、かけないよりはぐっと効果が高まります。ちなみにコンタクトレンズ着用の場合は、花粉がレンズと網膜の間に入ってしまい、なかなか涙で取り出すのが困難です。最悪な場合、結膜炎から網膜剥離に発展する可能性もあるため、花粉のシーズンはメガネに切り替えることを強く勧めます。
さて、最近では様々な種類の花粉症用メガネが出ていますよね。実用性のものからファッション性の高いものまで。そんな中でもオススメなのがこちら。
花粉症はもちろんのこと、UVカットも抜群。ファッション性もあって、通年使うことが出来ます。
メガネの次はマスク。花粉の吸いこみを軽減し、くしゃみ、鼻水を軽減します。中でもオススメなのがこちら。
名前のごとく超快適です。長時間着けていても耳が痛くなりません。装着時の肌ざわりが良いので、重宝します。
どうしてもマスクは嫌だ!と感じている方にはこちら。
植物から抽出したエッセンシャルオイル100%、天然アロマでリラックス効果もあり、寝る前に使用するのもありですね。
花粉症時期に必要な大量のティッシュ。何度も何度も鼻をかむので、いつも鼻が真っ赤になってしまいます。そんな鼻の痛さを軽減できるのがこちら。
ティッシュの最終形態と言っても過言ではないくらい優れたティッシュです。何度鼻をかんでも痛くなりません。保水成分とヒアルロン酸が配合されているので、肌の保湿性を高め、花粉症の乾燥時期にはもってこいです。
どうしても目がかゆくなったら…ってときにはありがたいです。
用途的には洗眼です。ただ花粉症のときだけではなく、疲れ目や泳いだ後などにも使えます。とにかく使用後は爽快感がありますので、目をリフレッシュしたいときにはオススメです。
花粉防止は目と鼻だけではありません。衣類に付着した花粉は厄介者です。付着させないためのアイテムがこちら。
花粉などのアレルギー物質の働きを制御するもの。衣類だけでなく、カーテンや車のシートなど、花粉の気になるところへスプレーしよう。
帰宅してから部屋に入ると、なんだか鼻がムズムズすることってありませんか?花粉は外だけに限らず、衣類や換気などで外から持ち込まれています。そんなときはやはり空気清浄機ですよね。部屋中の花粉を一網打尽にしましょう。
コンパクトサイズでありながら花粉だけでなく微細なPM2.5も吸い取ってくれます。また、タバコ臭やペット臭のようなニオイ取りにも最適です。
さて次は医薬品。お医者さんへ行くのが最も良い手ではありますが、どうしても時間が作れないときにはこちら。
花粉のみならず、アレルギー性鼻炎をお持ちの方への緩和。くしゃみや鼻づまり、鼻水に効果がある。また最大の特徴は、眠くなりにくいという点。仕事中や勉強中にボーっとなりにくいため、あらゆる局面において重宝するアイテムです。
準備しておきたいアイテム10選。最後はサプリメントです。身体の中から花粉症の効果を軽減させます。
このジャバラは柑橘類の一種で、原産地は和歌山県。花粉症の症状改善の効果が見込めるとの報告も出ています。
さて、準備しておきたいアイテム10選はいかがだったでしょうか。以前と比べて花粉症に関するグッズや食品なども多くなってきましたし、花粉症に関する研究もかなり進化しているようです。非常にありがたいことです。ただ上記のいずれも、体質などで合う合わないがあると思います。自分に合ったものを選んでいただければと思います(お医者さんに診てもらうのが1番なのですが…)。
まずはじめに、花粉症に限らずどんな病気や症状でも予防もしくは初期段階での治療が非常に重要であること。 これを初期療法と言いますが、症状を遅らせたり軽減できる可能性があります。まずはお医者さんに診てもらうことが一番です。( お医者さんを探す )
さて、花粉症は治るものなのでしょうか。はっきり言ってしまうと完治はできません。というのも、花粉症は病気ではなく症候群だからです。
一般的な病気のように、原因菌を特定し、薬の力を借りて治すということではなく、アレルギーに対して、人間の体質上の問題だからである。花粉症の症状が消えた、治ったなどを聞くことはあるかと思います。しかし残念ながらそれは花粉アレルギーに対しての免疫力がついたことによるもので、医学的な完治するということではないのです。 このように花粉症は花粉病ではないため、風邪などのようにはっきりとした結果は得られません。治ったように思えても、花粉症の症状が沈静化した、大幅に軽減されたと思うしかないでしょう。花粉症が治るというよりは、花粉症の症状が出なくなったという言い方のほうが正しいでしょう。
以下は花粉症への治療方法をいくつかご紹介します。ただし、自分の身体に合わないものもあると思いますので、まずはお医者さんへ相談される方が良いでしょう。
●医薬品の服用
処方箋だけでなく最近では薬局でも購入することができ、身近な存在となってます。種類もかなり豊富で、即効性のもの、眠気になりにくいもの、持続性のあるもの、部分的(目、鼻など)に効果のあるものなど。また常用している薬との相性や、効果のない体質などもあるので、注意が必要です。
こちらは鼻炎に特化したものです。局所に塗ったり、吹きかけたりして、くしゃみや鼻づまり、鼻水を止めます。
こちらは目のかゆみ、目の充血に特化したものです。目薬のように目に直接薬剤を含ませ、症状を緩和させます。
●注射による根治療法
減感作療法ともいい、花粉の抽出液を薄くしたものを体内へ注入し、徐々に濃度を上げていき、免疫力をつけていく方法です。他のアレルギー方法も同様に行うことがありますが、月に一度の注射を約2年以上続けなくてはなりません。重い症状向けです。
●ペプチド減感作療法
免疫力をつけていく方法とは違い、こちらは治療に必要な成分を合成したペプチド(アミノ酸が結合したもの)を体内に注入する方法です。副作用がほとんどなく、治療期間も短く、高い効果が見込める方法です。
●DNAワクチン療法
花粉からアレルギーの元となる抗原遺伝子を取り出して、患者の細胞に直接投入する手法です。最近になって注目されてきていますが、その安全性はまだ確立されてはおりません。
●ネブライザー療法(霧滴吸入療法)
何種類かの薬を調合し、霧状にして鼻や口から吸入する方法です。耳鼻咽喉科(じびいんこうか)でよく見られます。
その他に、花粉症対策として有効と言われている食材をいくつか挙げておきます。
巷ではよく紹介されている乳酸菌。ヨーグルトだけに限らず発酵食品全般に言えることですが、乳酸菌はご存知の通り腸内細菌のバランスを整え、免疫力を上げる働きをします。消化器官が正常に働くことで、アレルギーに強い身体を作り上げることができます。
ニンニクの臭いの原因となっているアリシン。このアリシンは疲労回復や抗アレルギー物質であることから花粉症にも効果があると言われています。他にも玉ねぎやニラも効果が見込めます。
ブロッコリーには、αリノレン酸、αリポ酸が多く含まれており、これらが花粉症緩和に効果があると言われています。
水溶性の食物繊維ペクチンを多く含むリンゴは、アレルギー症状の原因となる物質を減少させる効果があると言われています。