ウイルス・細菌・真菌は、宿主となる生物に病気を起こす性質を持つ病原体です。
病原体には、病原となる微生物と寄生虫に分けられますが、ウイルス・細菌・真菌は微生物に分類されます。
微生物には、遺伝子(DNAなど)が細胞内に仕切りなく入れられている原核生物と、細胞内に核と呼ばれる遺伝子(DNAなど)を包み込む膜がある真核生物に分けられます。
ウイルスは中心にある核酸と、それを取り囲むカプシド(タンパク質の殻)から構成されている粒子です。
核酸は、遺伝情報の伝達において機能するDNA(デオキシリボ核酸)とタンパク質合成において機能するRNA(リボ核酸)がありますが、ウイルスはDNAとRNAのどちらかしか持っておりません。
ウイルスにはDNAウイルスとRNAウイルスに分けられ、さらに遺伝物質において細分化されます。
DNAウイルスには、ポリオーマウイルスやパピローマウイルスがあります。
RNAウイルスには、インフルエンザウイルスやコロナウイルスがあります。
ウイルスの大きさは個体差がありますが、インフルエンザウイルスで80~120nmです。
細菌の大きさは約 1~5μm(1μm=1000nm)です。
真菌の大きさは約 5μm以上です。
これらの中では、微生物の中でもウイルスがかなり小さな存在であることがわかります。
ウイルスは増殖しますが、生物を定義する自己複製ができないため非生物とされております。
ウイルスの増殖には宿主となる細胞に感染し、その細胞の力を借りて複製していきます。そのため感染をしなければウイルスが増殖することはありません。
細菌と真菌は、宿主細胞内あるいは表面で細胞構成成分を合成して2分裂で増殖します。
ウイルスに関しては、直接ウイルスに効果のある治療薬が少なく、一般的にはウイルスを不活性化させる抗ウイルス薬でウイルスの増殖を抑えていきます。
細菌は、抗生物質を用いて細菌を直接攻撃して治療します。
真菌は、抗真菌薬を用いて真菌の生育を阻害します。
それぞれの比較は下記の通りです。
ウイルス | 細菌 | 真菌 | |
生物の分類 | DNAかRNAの一方とタンパク質で構成された物質 | 単細胞原核生物 | 多細胞真核生物 |
DNAとRNA | いずれかの一方がある | 両方ある | 両方ある |
細胞質と細胞壁 | どちらもない | 細胞壁や細胞膜が細胞の中身を包む | 強固な細胞壁や細胞膜が細胞の中身を包んでいる |
増殖方法 | 単独で増殖できないため宿主を介して細胞内に侵入して増殖する | 自ら栄養を摂取して単独で増殖する | 他の栄養を摂取して単独で細胞がなくても増える |
治療方法 | 直接ウイルスに効果のある治療薬が少ない | 抗生物質や合成抗菌薬など | 抗真菌薬 |
予防方法 | 手洗いやワクチンなど | 手洗いやワクチンなど | ない |