▼ 診療明細書(Medical specification)とは?
2010年4月から、診療明細書をすべての患者に発行することが保険医療機関と保険薬局に義務付けられました。
診療明細書には、診療内容や処方された薬剤などの名称と、その診療報酬算定の詳細が記載されております。
これまでは各項目ごとの小計が、記載された診療費領収書の発行のみが行われており、診療明細書は希望する患者にだけ発行されておりました。
※明細書・領収書の様式は医療機関ごとで異なる場合があります。
◇領収書と明細書の違い
領収書は、初診料や再診料をはじめ、投薬や処置といった大まかな区分ごとに診療報酬点数(診療報酬:1点=10円)を知ることができますが、明細書は、領収書に記載されている大まかな区分の具体的な診療行為や、名称などが記載されたものを指します。
そのため、明細書を確認することで、どのような処置をされて何の薬が処方されたかなどを知ることができます。
▼ 診療報酬明細書(Reimbursement specification)とは?
診療報酬明細書は医療機関ごとに異なり、医科や歯科の場合には「診療報酬明細書」、薬局における調剤の場合には「調剤報酬明細書」、訪問看護の場合には「訪問看護療養費明細書」と表記されます。
総じて各医療機関では、診療報酬明細書をレセプトといい、レセと略すこともあります。
医科では診療報酬明細書を被保険者毎に月単位で作成します。
作成した後はそれぞれの機関で審査を経由し、保険者に医療費を請求します。
◇国民健康保険および後期高齢者医療制度の被保険者の場合 |
→ 都道府県毎に設立されている国民健康保険団体連合会へ提出 |
◇社会保険の被保険者の場合 |
→ 社会保険診療報酬支払基金へ提出 |
※明細書の様式は医療機関ごとで異なる場合があります。
診療報酬明細書には、患者氏名や性別、生年月日といった個人情報と健康保険加入情報、請求元の医療機関名と診療行為ごとの診療報酬点数が記載されます。
▼ 診療明細書と診療報酬明細書の違いとは?
それぞれの明細書の記載内容は、個人情報の記載や診療報酬点数の記入方法が異なりますが、診療内容や処方された薬剤などの内容は同じになります。
大きな違いは明細書としての役割です。
それぞれの役割は以下の通りです。
◇診療明細書
→ 患者が診療費領収書と一緒に受け取るもの
◇診療報酬明細書
→ 医療機関が国民健康保険団体連合会または社会保険診療報酬支払基金へ提出するもの
各医療機関で様式の異なる場合がありますが、記載されている内容は同じになります。
患者が受け取る診療明細書は、医療に関する基本的な情報が記載されており、診療内容や処方された薬剤に誤りがないかを確認することもできます。
万が一、自分に投与されていた薬剤に副作用が出ると新たに発表された場合でも、診療明細書があれば確認することができます。