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医療に関する専門用語を解説した用語辞典です。

肝硬変

肝硬変の原因は、我が国では慢性C型肝炎による場合が最も多くみられます。
また、最近ではNASHから肝硬変への移行が増加傾向にあります。肝炎が慢性化すると肝臓のクッパー細胞や、単球由来マクロファージが活性化して、盛んに化学物質を放出します。それによって類洞周囲に存在する肝星細胞が活性化します。
肝星細胞は正常状態では多量のビタミンAを貯蔵していますが、活性化すると貯蔵ビタミンAは減少消失し、筋線維芽細胞(平滑筋細胞と線維芽細胞の中間的な細胞)に変化し、盛んにコラーゲン線維を産生するようになります。
我が国では肝線維化のステージを、線維化がみられないものから、次第に増加し、肝硬変に至るまでを、F0、F1(軽度)、F2(中等度)、F3(高度)、F4(肝硬変)の5段階に分けています。肝臓は増加した線維で固くなるとともに、類洞を取り巻いていた肝星細胞の収縮性が増し、門脈血はうっ滞して腹水が溜まってきます。
門脈圧が上昇し、うっ血状態になります。健常時の肝臓の動脈血/門脈血の量比は3/7ですが、肝硬変では7/3と逆転します。そのために肝臓に2次的に障害が起こります。
門脈血はうっ滞して腹水が溜まってきます。門脈血は通常通り肝臓内を通って心臓へ帰れなくなり、肝臓の外にある細い静脈(副行枝)を押し広げながら心臓へ帰ろうとします。
その副行枝の一つがしばしば食道下部に静脈瘤を作ります。この静脈瘤が内圧に耐えられなくなって破裂して一挙に大量出血を起こし、ショック死を招くことがあります。
一方肝臓内では炎症が長く持続し、且つ線維化がおこってくると、発がんのリスクが増加します。
いずれにしても肝硬変は重篤な病気ですから、慢性炎症の初期段階で治療することが肝要です。