風疹(rubella)は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症です。
感染時期 | 子どもがかかるイメージがある「風疹」ですが、患者の9割は成人です。 春先から初夏にかけて流行する傾向があります。 |
感染について | 発疹が現れる前後約1週間の患者さんの飛沫(ひまつ)を介して感染しますが、伝染力は麻疹ましん、水痘すいとうより弱いといわれています。 |
原因となる病原体 | 風疹ウイルスへの感染が原因です。 |
潜伏期 | 14〜21日 |
症状 | 38℃くらいの発熱、目の充血、のどのはれと痛みといったかぜに似た症状とともに、小さな赤い発疹が、顔、体、手足など全身にでます。この発疹にかゆみはほとんどなく、はしかのように発疹が大きくなることもありません。また、耳のうしろのリンパ節がはれて痛む点も特徴です。 これらの症状は、3〜4日でおさまります。「3日はしか」と呼ばれることも。
風疹の症状は、子どものうちは比較的軽いものです。 また、子どもの感染症と思われがちですが、大人が感染すると、発熱や発疹期間が長く(一週間かそれ以上)、また関節痛がひどいなど、子どもと比較し症状が重くなることが多いと言われています。 一度感染すると免疫ができ、多くの人は生涯かかることはありません。 |
合併症 | まれに血小板減少性紫斑病や脳炎を合併することがあります。 妊娠初期の女性がかかると、先天性風疹症候群(CRS)の赤ちゃんが生まれる可能性が高いといわれています。 妊娠2カ月以内の女性が風疹にかかると、白内障、先天性の心臓病(動脈管開存症、肺動脈狭窄、心室中隔欠損、心房中隔欠損など)、難聴の2つ以上をもって生まれてくることが多いとされています。 妊娠3〜5カ月に感染した場合でも難聴が多くみられます。その他、子宮内での発育が遅い、網膜の病気、緑内障、小頭症、髄膜炎、精神運動発達に遅れがある、肝臓や脾臓がはれる、血小板減少性紫斑病などの症状が赤ちゃんに認められる場合があります。 |
検査方法 | 血液検査で調べられます。 |
治療方法 | 通常は、安静にしていれば問題ありません、症状が重い場合には、症状を緩和する対症療法が行われます。二次感染予防のために、抗菌薬が使われることもあります。 ワクチンを接種して発症そのものを予防しましょう。 |
【予防のポイント】
予防として弱毒生ワクチンが実用化され、広く使われていますが、先進国ではMMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹混合)ワクチンとして使用している国がほとんどです。日本では、2006年からMR(麻疹・風疹混合)ワクチンが広く使用されるようになり、2006年6月からは、1歳児と小学校入学前1年間の幼児を対象とした2回接種制度が始まっています。
CRSに対するウイルス特異的な治療法はなく、女性は妊娠する前にワクチンによって風疹に対する免疫を獲得すること、社会全体で風疹ワクチンの接種率を上げることで風疹の流行そのものを抑制し、妊婦が風疹ウイルスに曝露(ばくろ)されないようにすることが重要です。風疹が流行すると人工妊娠中絶が増加することもすでに報告されており、ワクチン接種率を上げることが急務です。