▼ ジェネリック医薬品とは?
ジェネリック医薬品は、後発医薬品(こうはついやくひん)と呼ばれており、後発薬やGE薬のように略称で呼ばれることもあります。
対して新薬(または新医薬品)は、先発医薬品(せんぱついやくひん)と呼ばれ、新しい成分の有効性や安全性を、国が承認してから発売される医薬品です。
ジェネリック医薬品は、新薬と同じ有効成分を同量含んでいるため、効き目も同等であると認められた医薬品です。
また、新薬に比べて薬の値段が安いため、自己負担や国民医療費の抑制にもつながります。
厚生労働省は、2029年度末までにバイオシミラーに80%以上置き換わった成分数が全体の成分数の60%以上にすることを目標としております。目標の実現に向け、後発医薬品及びバイオシミラーの使用促進のための施策に取り組んでおります。
■バイオシミラー
先行バイオ医薬品と同じ品質・安全性および有効性を有する医薬品のこと
▼ 本当に有効性や安全性に問題はないの?
新薬に比べて医薬品の値段が安いジェネリック医薬品ですが、成分や成分量が同じでも製薬会社ごとで差があるのではないかという疑問が出てきます。
まず各製薬会社では、製造前に下記のような試験を繰り返し行います。
- 溶出試験…新薬と同様に体内で溶けるか
- 生物学的同等性試験…新薬と同速度かつ同量の有効成分が体内に吸収されるか
- 安定性試験…気温や湿度 長期保存などの環境の変化から品質に影響はないか
など
また、既に販売されているジェネリック医薬品についても、国立医薬品食品衛生研究所を中心に定期的な試験検査を実施しており、検査結果も公表されております。
▼ ジェネリック医薬品を使いたい
新薬よりも安く手に入れることができるジェネリック医薬品を利用する場合には、その旨を伝えることで受け取ることができます。
利用することを伝えにくい場合は、市町村や協会けんぽ及び健康保険組合が配布している「ジェネリック医薬品希望シール」を診察券あるいは保険証に貼付するか、「ジェネリック医薬品希望カード」を提示する方法で利用できます。
「ジェネリック医薬品希望カード」
出典:株式会社 朝陽薬局
また、処方せんに記載されている医薬品が新薬の場合でも「変更不可」の欄にチェックがなければ、薬剤師と相談の上、ジェネリック医薬品を利用することができます。
ただし全ての医薬品にジェネリック医薬品があるわけではありません。不明な点や質問等は、かかりつけの医師や薬剤師に相談をしましょう。
▼ 医薬品副作用被害救済制度って何?
医薬品副作用被害救済制度は、処方された医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用による健康被害で治療を余儀なくされた方に対して医療費などの給付を行う制度のことです。
※抗がん剤や免疫抑制剤など薬効を期待する際に予め副作用が発生してしまうような対象除外となる医薬品もあります
このような救済制度の背景には、薬の有効成分の詳細は明らかになっていますが、製造方法については各製薬会社ごとに異なるからです。
これには製法特許というものが存在しており、錠剤などを作る際には各製薬会社ごとに添加物や安定剤、錠剤を形作る賦形剤などが使われ、医薬品の副作用として稀に起こる場合があるようです。
ただし新薬と同じ有効成分であることに違いはないため、症例としては特殊なケースといえるでしょう。
救済制度の詳細については下記を参照ください。
出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構
▼ まとめ
世界におけるジェネリック医薬品の普及は、アメリカ合衆国・ドイツ・イギリス・フランスなど、各先進国で進んでいます。
その普及率はアメリカ 91%、ドイツ 82%、イギリス 73%、フランス 62%と、いずれも高い水準にあります(2010年・数量ベース)。
一方、日本におけるジェネリック医薬品の普及率は、43.1%(2013年)であり、先進国の中では、まだ一般的ではないのかもしれません。
※ 現在の後発医薬品の数量シェア:79.0%(令和4年9月薬価調査)
各製薬会社の安定供給が難しいだけでなく、新薬を製造している製薬会社と製造方法が一致しないことから、有効性や安全性の面で信頼することができないと言われる方もいます。
ジェネリック医薬品は費用を抑えられるメリットもありますが、新薬の特許期間中のものはジェネリック医薬品として手に入れることができません。
新薬とジェネリック医薬品を上手に使い分けましょう。
また一度ジェネリック医薬品を利用したからといって、新薬に戻すことができないということはありません。
ジェネリック医薬品を試したが、以前に飲んでいた薬のほうが良さそうといった場合には、医師や薬剤師にその旨を伝え、相談するようにしましょう。