▼ 家庭医とは?

あまり聞き馴染みのない「家庭医」は、海外では広く認知された医療の専門分野のひとつです。
家庭医は健康上の問題や疾病に対して、総合的・継続的・全人的に対応する地域の保健医療福祉機能を指します。
家庭医は内科や外科などの医師と同様に、重要な役割を担い、専門の研修を受けた医師です。
家庭医の本質は、患者や地域のニーズに総合的に応えることであり、どの診療科に相談すればよいか悩む必要はありません。
また電話相談や在宅診療などにも幅広く対応しており、患者のニーズに合わせて診てもらうことも可能です。
家庭医のすべてが問題を解決できるわけではありませんが、より専門性の高い医師を紹介してくれたり、適切なサービスを受けられるように手配してくれたりします。
▼ 家庭医と総合医の違いは?
総合医とは?

総合医は、患者の特定臓器に着目するのではなく、全体的な健康問題に向き合って治療を行います。
家庭医も総合医も、基本的な診療に対する方向性は同じです。
それぞれの違いに明確な定義はありませんが、病院の中で総合的に診察をするのが総合医であり、診療所で総合的に診察をするのが家庭医と言われることが多いです。

家庭医…診療所で総合的に診察
総合医…病院の中で総合的に診察
家庭医や総合医は、診療する患者さんだけを診るのではなく、その家族の健康問題や地域の予防医療にも関わりを持ちます。
家庭医と総合医の比較表
項目 | 家庭医 | 総合医 |
主な診療場所 | 地域の診療所・クリニック | 病院(総合診療科など) |
役割 | 患者の生活に寄り添い、継続的に診療・健康相談を行う「かかりつけ医」 | 幅広い症状を診察し、必要に応じて専門科へつなぐ「振り分け役」 |
診療対象 | 風邪・高血圧・糖尿病など日常的な疾患、慢性疾患の管理 | 原因が不明な症状、複数の症状が重なったケースなど |
強み | 患者や家族を長期的に支える継続性・総合性 | 病院内での総合的な診断力と専門科への連携 |
受診の目安 | 健康相談や慢性疾患の定期管理、体調に不安があるとき | 症状が複雑・原因がはっきりしない場合、専門医が必要か判断してほしいとき |
表のとおり、家庭医と総合医はいずれも幅広い知識を持ちますが、診療の場と役割には違いがあります。家庭医は日常的な健康相談や慢性疾患の管理を担い、患者や家族に長く寄り添う存在です。一方、総合医は病院で複雑な症状を診察し、必要に応じて各専門科へつなぐ役割を果たします。
どちらも最初に相談できる医師という点は共通しており、体調の不安があるときや、どの診療科に行けばよいかわからないときに頼れる存在です。